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帯状疱疹ワクチン(シングリックスⓇ)について
投稿日:2025.06.18
年齢を重ねるとともに、私たちの身体は様々な変化を経験します。その中で、時に激しい痛みを伴い、日常生活に大きな影響を及ぼす疾患に「帯状疱疹」があります。子供の時にかかる水ぼうそうのウイルスが原因で、加齢やストレスで細胞性免疫力が低下した際に発症します。
帯状疱疹は、身体の片側に痛みや発疹、水ぶくれが現れるのが特徴です。その痛みは非常に強く、さらに皮膚症状が治った後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」に移行することもあり、生活の質を低下させます。日本人のおよそ3人に1人が一生のうちに一度はかかると言われており、特に50歳を過ぎると発症リスクが高まります。
そんな帯状疱疹の強力な味方が、新しいワクチン「シングリックス」です。特筆すべきはその高い予防効果で、50歳以上の方を対象とした臨床試験では、帯状疱疹の発症を97%、帯状疱疹後神経痛の発症を91%も抑制するという結果が出ています。これは、従来のワクチンと比較しても非常に高い数値です。
接種対象者は50歳以上、または帯状疱疹に罹患するリスクの高いと考えられる18歳以上の人です。
シングリックスの接種は、2回、筋肉内注射で行われます。通常2か月あけて接種します。副反応として接種部位の痛みや腫れ、倦怠感、発熱があり、印象としてはコロナワクチンと同程度の副反応がありそうです(インフルエンザ予防接種よりちょっときつい感じ)。
効果の持続期間についてはまだ臨床で使われるようになって5年しかたっていないのでそれ以上どれくらい持続するのかは分かっていませんが、発売前の治験のデータからは10年以上まだまだ効果が持続しているようです。
帯状疱疹は、予防できる病気です。激しい痛みや、それが慢性化するリスク、そしてそれによって失われる生活の質を考慮すれば、シングリックスの接種は十分に検討に値する選択肢と言えるでしょう。
なお、65歳以上の人に対しては、5歳ごとの年度年齢で公的補助が今年から開始されました。各自治体のホームページでご確認いただければと思います。